男達は一卵性双生児なのか、バランスのとれた容姿も、彫刻のように整った顔立ちも、奇妙なほどにそっくりだった。
そのうちの片方が、桜井にしなだれかかるようにして囁く。
「顔つきが変わったわねえ、リーインv なんか良いことあった?」
低い渋く響く声だったが、言葉遣いはまるで女のようだ。
男達はこの店のオーナーであり、そうしてハッカーでもあった。
だがハッカー・コンベンションに集まってはしゃいでいるような連中とは、ハッキリと一線を画している。
―― 二人は本物の天才だった。
おそらく、現在『駭客神』と張り合える程の能力と腕を持っているのは、この二人ぐらいなものではなかろうか。
その割に世間に名前が売れていないのは、彼らが頻繁にハンドル・ネームを変えているからだ。
それには何か深い理由があるらしかったが、あえて聞いてみたことはなかった。
桜井はいきなり用件を切り出した。
「いま、何か大きな仕事はないかな。アイン。できるだけ報酬の大きいやつがいい」
「あるよ、一件」
しなだれかかっているのではない方のアインと呼ばれた男が、ややぶっきらぼうな口調で答える。
「あたし達いま別口でとりこんでて、そっちまで手がまわんないんだ
・・・・・・代わりにやってみるかい?」
しなだれかかっている男、ツヴァイと呼ばれている、を押しかえしながら桜井は聞いた。
「どんなんだい?」
だがその問いに答えたのは、ツヴァイの方だった。
「相当やっかいそうだわよね〜。あのアルゴンソフトがらみだしぃ」
「アルゴンソフトか・・・・・・そいつは難しそうだ」
呟く桜井に追い打ちをかけるように、声をひそめたツヴァイは続ける。
「命がけになるかもね。得体の知れない組織とか、政府までかかわってるみたい」
「政府・・・・・・?」
怪訝そうに片眉を上げた桜井に、アインが答えた。
「水面下でだけど、あちこちに何だか変な動きがあるんだよ」
アインの言葉に、ツヴァイがクスクスと笑った。
「それでも腕試しにやってみるう?」
「オーケー、詳細を教えてくれ」
「あんたが失敗してヤバイ事になっても、恨みっこなしだからね」
「わかってるさ」
きっぱりと言い切った桜井を、ツヴァイが冷やかした。
「えらいわ、さすがオトコの子!」
◇ ◇ ◇ ◇
・・続く




