2007年07月21日

駭客神〜The God of Hacker〜30


 例のパブに、桜井はまた顔を見せていた。
 長身の双子が、彼を迎える。

 席に着くと、アインが急に真顔になって訊いた。
「リーイン。あんた、いま『駭客神』を追っかけてるんだって?
 どうしたのさ。他人には興味がなかったんじゃないのかい」
 桜井は口ごもった。
「いや・・・・」
「なによ、アンタ。『駭客神』に惚れちゃったのぉ? 
 妬けちゃうわねえ」
 ツヴァイが、揶揄するように脇から口を挟んだ。
「そういう言い方は、やめてくれないかな。
 ちょっとしたしがらみで、もう一度本人に会いたいだけなんだ」
 生真面目に言い返した桜井の言葉に、ツヴァイは顔をしかめてみせた。
「まったく、アンタってば本当にやんなっちゃう。
 いくっらハンドル・ネームが『リーイン』だからってさ、なにも性格まで似てくることはないでしょぉ」
「そんなこと言われたって、わからないよ。その映画は見てないんだ」
「そうよね〜。アンタ、映画キライだもんねえ。
 見たことある映画なんてあるわけないわよね」
 そう言って、くすくすと笑った。
「嫌いってわけじゃなくて・・・・・・暗いと眠くなっちゃうだけだってば」
「ま、同じようなもんよね〜。
 いいわ、内容を教えたげる。ようするに、ヘビースモーカーの暴走刑事が追っかけている殺し屋に一目惚れして、相思相愛になったあげく破滅する話よ」
 予想外の内容を聞いた桜井は、目をぱちくりとした。
「前に聞いた時は、ハードボイルド・アクションだとかって言ってなかったっけか?
 ホントは、そういう話なのかい?」
 長い指で額を押さえたアインが、うんざりしたように言う。
「相当違うわね。
 ・・・・・・まったく。このバカ、どういう見方したんだか」
 ツヴァイが片手をピラピラと振った。
「そんなことは、どうでもいいの。
 あたし達、あんたのこと本気で心配してるのよ。
 見かけより無茶なのは、よーく知ってるからね」
「心配してくれて、ありがとう」
 そう言いながら桜井の見せた何処かふてぶてしい頬笑みに、アインがため息を付く。
「今回の事で、周りがけっこうヤバクなってきてるみたいだからね。
 アタシ達も、そろそろ地下に潜ることにしたんだ」
 ツヴァイが合いの手を入れる。
「新しい名前と、新しい生活。なんだかワクワクしちゃうわねえ〜」
「そのうちこっちから連絡するよ、リーイン」
「いつもみたいに "Don't call us!! We call you!" かい?」
「そういうこと」
「良ぉくわかってるじゃない」



◇ ◇ ◇ ◇



・・続く
posted by 滝村磨允 at 21:14| Comment(0) | 駭客神 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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