よろけながらもその特殊能力により無傷で立ち上がった門倉は、倒れて藻掻く人々や飛び散ったガラクタを跨いで、桜井に駆寄った。
『SIVA』ブースは、完全に破壊されている。
桜井を刺そうとしていた男は、爆発の衝撃をもろに受けて即死していた。
だが刺客の身体が盾になって、逆に桜井の方が受ける衝撃が小さくてすんだようだった。
それでも無傷というわけにはいかず、藻掻くように桜井がなんとか死体の下から這い出ようとしているところを、白いスーツの男に助け出された。
「・・・・サクライ・・・・・・無事で良かった!」
自分を抱えている男の顔に、桜井は焦点を合わせようとした。しかし、周囲に立ちこめる煙の為かそれとも別の理由か、目がかすんでよく見えない。
衝撃さめやらぬままの桜井は、ぼんやりと呟いた。
「キドッチ・・・・?」
その声は周囲の騒ぎに紛れ、門倉には届かなかった。
会場内は大混乱になっていた。
とにかく門倉は、その場から脱出することにした。
桜井の片腕を肩に掛けさせ、なんとか身体を支えて立たせる。
桜井は自分が支えられて、外に向かっているのを感じている。だが、どこか現実感が無い。
そうして、フッとかき消すようにあらゆるものが消失する・・・・。
―― 桜井は意識を失った。
やや離れたところに控え全てを見ていたフィネガンは、闇雲に逃げ惑う人波に流されそうになりながら思わず舌打ちする。
「いったいどうなっていやがるんだ、この業界はっ!?」
―― もっともな愚痴だといえるだろう。
これが情報企業体『SIVA』の香港統治に反抗するテロリスト達による爆破事件だと判明するのはもっと後の話であり、本件とはまた別の話なのであえて詳細を述べることはしない。
◇ ◇ ◇ ◇
・・続く




